ランニングクリニック2017

アドバンスコース/トレーナーズトレーニング

キッズランニングスクール2017


2017年11月4日-5日


 下肢切断者向けのランニング指導を行うイベントを東京大学スポーツ先端科学研究拠点の主催、オットーボック・ジャパン株式会社と一般社団法人ハビリスジャパンの共催で、今回は対象を子どもたちまでに広げ開催いたしました。

 ランニングクリニックのプログラムは、走ることを通して、義足ユーザーがそれぞれの目標を達成し、活動的な生活を取り戻すきっかけとなるべく、2015年よりオットーボック社が世界的に展開しているものです。

 本年は新たな取り組みとして、過去2回のランニングクリニック参加者を対象とし、さらなるランニング技術向上とフォローアップを目的とした「アドバンスコース」、また、下肢切断者がランニングを学べる環境を広げるべく、これらの指導のできるスポーツ指導者、医療関係者を育成することを目的とした「トレーナーズトレーニング」の2つのプログラムを、国際的にも初めて開催いたしました。

 そして手足に障がいを持つ子どもたちが走ることの楽しみを感じ、学ぶための「キッズランニングスクール」も同時に開催しました。



ランニングクリニック2017


 本プログラムでは講師に、ロンドン、リオのパラリンピック2大会連続で金メダルを獲得しているハインリッヒ・ポポフ選手、本年8月のパラ陸上世界選手権で銅メダルを獲得したレオン・シェーファー選手、そして日本の義足ランナーの第一人者で、リオパラリンピックで2個のメダルを獲得した山本篤選手を招きました。


指導者 :
ハインリッヒ ポポフ 選手:ロンドンパラリンピック100m:T42クラス金メダリスト、 リオパラリンピック走幅跳:T42クラス 金メダリスト、 オットーボックアンバサダー
レオン シェーファー 選手:世界パラ陸上競技選手権大会2017 4 x 100 mリレー:T42クラス 1 位、走幅跳:3 位、リオパラリンピック走幅跳:T42クラス 4 位、オットーボックアンバサダー
山本 篤 選手:リオパラリンピック 走幅跳:T42クラス 銀メダリスト、男子4 × 100mリレー: T42-47クラス 銅メダリスト北京パラリンピック 走幅跳:T42/44クラス 銀メダリスト、2015 年世界選手権 走幅跳:T42クラス 金メダリスト


ランニングクリニック ・ アドバンスコース

 今回初の試みであるアドバンスコースには、過去2回の参加者の中から、全部で18名もの方が参加しました。参加者の中には、リオパラリンピックやパラ陸上世界選手権などに参加したトップアスリートから、久しぶりに走る方まで、幅広い層が含まれていました。
 ランニングにおいてベースとなる体幹トレーニングやランニングの基礎練習など、ビギナー向けランニングクリニックで学んだことをしっかり身につけているかの確認と、さらなるランニング技術のレベルアップに向けて、より精度の高いトレーニングを実施できるよう、基本トレーニングを改めて繰り返し行いました。ポポフ選手らの熱い指導のもと、グラウンドを何往復もするようなハードなメニューが続きましたが、義足を使ったランニングをきちんと身につけるには、このような基本がいかに重要であるかを再認識するプログラムとなりました。
 プログラム2日目の最後には、トレーナーズトレーニング参加者やスタッフも交えたリレー対決も行われ、白熱した接戦で盛り上がりの中終了しました。また参加者同士で交流の時間を持つ中で、情報交換や自身の課題を見直す機会となり、参加者の満足度は高く、充実したイベントとなりました。


ランニングクリニック ・ トレーナーズトレーニング

 下肢切断の障がいを持つ人々が走りたいと希望したときに、近くに適切なランニング指導ができる指導者がいる環境を作るために、また、義足アスリートがパフォーマンス向上に向けて継続的にトレーニングを行う環境を作るために、義足アスリートの指導や義足製作・適合を担当するスタッフへの指導と啓発活動が必須となります。この背景から、講師であるポポフ選手の念願であった世界で初めての指導者・専門職対象のセミナーの開催に至りました。その目的に向けて企画された本プログラムでは、スポーツ用義足でのランニングに関わる指導者や、理学療法士、義肢装具士をはじめとした医療関係者など28名が参加しました。
 本プログラムはアドバンスコースと並行して行われ、1日目ならびに2日目午前は、アドバンスコースの指導を見学しながら、適宜ポポフ選手らがトレーナーズトレーニング参加者に対して、今行われているメニューの意義や実施の際の注意点などを細かく説明しました。2日目午後はトレーナーズトレーニング参加者を対象とした、ディスカッション形式での講義を行いました。これらを通して、切断者への指導にあたってのコンセプトやその工夫などを学ぶ非常に貴重な機会となり、参加者は学ぶことの多い実りのある場となりました。



キッズランニングスクール2017


 本プログラムは、一般社団法人ハビリスジャパンの協力のもと、3歳から12歳の幅広い年齢の手足に障がいを持つ子どもたち13名 と、その兄弟姉妹も参加したイベントになりました。手足に欠損があったり、義肢を使っていることで体を大きく動かすことを躊躇する子どもたちも、全身を使って思いっきり走ることを目指します。走る時の注意点や手足がないことによる左右のバランスの悪さをまねかない体作りを学び、最後はオットーボック社の協力で、同時開催していたランニングクリニックの指導者、山本篤選手の指導を受けたり、金メダリストのハインリッヒ・ポポフ選手に質問したり、思いっきり走って競争してみよう!というプログラムを行いました。


・セミナー
 まず、子どもたちとその家族を対象としたセミナーを開催しました。内容は「子どもたちの成長と発達」「義肢と断端」という2つのテーマです。
 子どもの発育や健康にとって、いかに運動が大切な役割を果たしているか、また、年齢に応じて、行うべき運動があることや、子どもが義肢を使用しているかどうかにかかわらず、子どもたちの成長をのびのびサポートすることの大切さについて、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部理学療法士の藤堂太右氏が講師を務めました。続いて、「義肢と断端」は田沢製作所の義肢装具士の柴田晃希氏を講師に、成長期の子どもたちの義肢についてとその断端管理の重要性について、具体例も示しながらのセミナーを行いました。

・ウォーミングアップ
 本イベントでは子どもたちの他に、医療関係者(医師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、医療系職種の学生)のボランティアスタッフを募り、参加する子どもたちを直接サポートしました。両親が見守る中、スタッフと子どもたちの紹介から始まりました。ペアを組んでのウォーミングアップはすこし緊張していましたが、徐々に子どもたちも笑顔がこぼれはじめます。バランスの良い体作りを目指すためのプログラムを皆でこなしました。そしてウォーミングアップが終わったら、屋外のグラウンドへ移動しました。


・ポポフ選手とのかけっこ

 広々とした芝生のグラウンドに移動すると、まずパラリンピック銀メダリストの山本篤選手が迎えてくれました。グラウンドでのウォーミングアップを行っていると、金メダリストのハインリッヒ・ポポフ選手も合流し、リオパラリンピックの金メダル、銀メダル、銅メダルの3つを子どもたちに渡し、子どもたちはかわるがわる首にかけてみては満面の笑顔でした。


 続いて広いグラウンドで走り方体験をしました。一部の板バネ義足を持っている子どもたちも、そうでない子どもたちも思い思いの走り方で、青空のもとでおもいっきり走りました。
   
ポポフ選手とのかけっこ

 広々とした芝生のグラウンドに移動し、金メダルのアスリートのポポフ選手、レオン選手、山本選手から走り方を教えてもらったり、迫力満点のおにごっこをしたりしました。
 
   

 次は実践・・・とばかりに、メダリストが鬼になっての鬼ごっこ大会です。鬼になったメダリストのあまりの迫力に泣き出してしまう子もいましたが、みんな必死に逃げ回り、最後は子どもたちが鬼になって、メダリストをあっという間につかまえてしまうという、楽しい場になりました。
 子どもたちとその家族はそれぞれにセミナーとメダリストとの交流で、思い出に残る一日になったのではと思います。また、子どもたちのサポートで参加した医療関連職種を中心としたボランティアスタッフも、日ごろの診療などで目にしない手足の障がいのある子どもたちの動きを目の当たりにし、思い思いに学ぶところがあったようです。


開 催 日

:2017年11月4日(土)~11月5日(日)
開催場所:東京大学御殿下記念館 ジムナジアム(体育館)とグラウンド
   http://www.undou-kai.com/goten

主  催

:東京大学スポーツ先端科学研究拠点

共  催

: オットーボック・ジャパン株式会社 / 一般社団法人 ハビリスジャパン

協力団体

:一般社団法人 日本パラ陸上競技連盟 / 日本財団パラリンピックサポートセンター /
公益社団法人 日本トライアスロン連合

後援団体

:公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 / 一般社団法人 日本義肢装具学会